内定式とは

大手企業をはじめ各社の採用活動は、実質的には前年の秋から始まっており、2月には選考が本格化して内々定出しは大手企業で4月中旬頃がピークとなっています。そして学生から内々定の承諾を取り、5月下旬頃でひとまず選考活動を終了することになります。その後、倫理憲章で定められた解禁日にあたる10月1日にようやく正式な内定通知を学生に渡すために内定式を開くのが一般的な流れとなっています。 採用担当者の多くは内定式をその年の採用活動の締めくくりと考えている傾向があり、学生が内定式に参加すれば、まずその後の辞退はないと思っているようです・・実際に、留年等々の事情を除けばそれほど辞退者は出ない様です。
内々定の時期が今より遅い数年前であれば、10月1日の内定式は企業共通の学生拘束日として重複内々定者に対する踏み絵として有効でした。現に昨年でも約7割の企業が10月1日前後に内定式を行っているようです。さらにその7割は10月1日に開催していることから、約半数の企業がこの日に学生に集合をかけている計算になり、重複内定の学生にとっては結論を出さざるを得ない日になります。また、社長・役員も出席する式に参加するということで、学生側も正式に入社の意志を示す機会になり、式に参加することで「正式に決まり」という感覚を持たせられるのも事実なようです。

内定式 内定者フォロー

学生からは内々定が決まった後、「キメ細かく対応して欲しい」という意見や「学生の自主性を尊重して欲しい」といった意見などがあるようですが、いずれにしても翌年からの就職に対して、多くの不安を抱いているようです。その不安を払拭し、就業のモチベーションアップを図るような目的で内定式を開催する企業は多いです。
ここで実際の事例を紹介します。A社(紙パッケージメーカー)の場合、儀式的な「社長挨拶」「内定書授与」「内定者代表挨拶」などを午前中に済ませ、お昼の会食を内定者と役員だけでなく、各部署の若手社員を交えて行い、会社の雰囲気を感じられる内容にしています。午後は本社と工場の見学を行い、半年後に実際に働く職場を直に見てもらうことで実際に働くイメージ作りに役立たてています。情報サービスB社では、内定式のあと夕方から採用担当者以外の若手社員主催による懇親会を開いている。内定者同士だけでなく若手社員との交流を持たせることで、採用担当者には聞きにくい質問や、入社までに興味を持って勉強しておくべきことがらなどを話せる場にもしています。同様に出版のC社でも、入社後半年の新入社員と入社後の生活について具体的な話をする場をつくっている。「スーツは何着必要か?」「カバンはどのようなものを買っておくべきか?」「本社勤務の場合どこに住むか?」など、これから一緒に働く仲間として気軽に情報交換をさせています。食品商社D社の場合、午前中に内定式を行い、午後は研修ということで内定者に来期の採用活動方法についてディスカッションをさせ、レポートを書かせている。母集団の形成や会社説明会の内容、そして内定式までのフォローを考えさせることによって、内定者の不安などの実情を聞き出すだけでなく、「会社のための仕事をした」という実感を持たせることも狙いの一つになっている。このように内定式に内定フォローの要素を意識した企業では、前半は「式」として行い、後半をより充実した内容にするように心がけているようです。またこれら以外にも、配属の前準備として個別部署の説明や配属希望調査、英語の試験や適性試験などを実施する企業も多いようです。

内定式に出た学生の感想

内定者自身は内定式についてどのような感想を持っているのでしょうか。多くの企業で内定式が行われた昨年の10月に、学生モニターにアンケートを取ってみました。そこではさまざまな意見が出ましたが、まず、肯定的な意見を紹介しましょう。
1つ目は「内定という実感がしっかりと得られた。出てよかった(政府系金融機関内定)」や「内定者の学生と初めて顔を合わせて、ようやく内定という安心感が持てた。この会社でよかったと思えた(保険会社内定)」のように、改めて内定という実感が持てたという意見です。内々定以降連絡はあるものの、内定者同士の交流や会社訪問などがなければ、内定をもらったという気持ちが次第に薄れてゆくのは仕方のないことです。そこで、内定式をある程度緊張感のある式にすることで、内定の重みを感じさせることにつながっていきます。
2つ目は「今後、自分がどういう人たちと仕事をしていくのかを知るとともに、自分の将来の方向性がよりはっきりしてきた(航空会社内定)」や「就職活動を終え、学生気分に逆戻りしていたが、もう一度社会人になる自分を見直せる機会になった(証券会社内定)」などモチベーションが上がったという声です。一方、否定的な意見では、「社長に来て欲しかった(スーパー内定)」、「時間ばかりが無駄に長く、あまり有意義なものではなかった(出版社内定)」「台風の影響で関西の内定者と話す時間があまり取れず残念(リース会社内定)」や「台風の影響であっけなく解散。ちょっと物足りなかった(保険会社内定)」などの期待はずれという意見もあります。

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